王子様のおつかい
 ルインフィートはそのビンの中の液体を、一気に飲み干した。しかし、苦いような甘いような酸っぱいようななんともいえない濃厚な液体に、むせてしまって咳き込んだ。
 不審に思い、ビンのラベルを良く確認してみると、成分表にはこう書かれていた。
すっぽん
オットセイ
トナカイ
マカ
亜鉛酵母
タツノオトシゴ
ウアナルポマチョ
ソフォン
ガラナ
サソリ
「な、なんだよこれ!!」
 ルインフィートはガーラに激しく抗議した。いかにもな怪しい成分ばかりだという事はルインフィートにも理解できた。
「なにって、元気になるお薬さ」
 ガーラは薄笑いを浮かべてルインフィートにあっけらかんと言った。
「いかにも効きそうだろ? 家来君もこれでバッチリ元気になるよ」
 その言葉を聞いて、ルインフィートはぞっとした。
「ハルマースにも飲ませたのか!」
 ルインフィートはガーラの肩に掴みかかった。しかしガーラは掴みかかって来たルインフィートを抱き寄せて、首筋に舌を這わせて耳元に囁いた。
「今夜は三人で楽しもうぜ……」
 ガーラはルインフィートの尻に手を伸ばし、いやらしい手つきで撫でさすった。
「な、何考えてるんだよ……!」
 薬が早くも効いてきてしまったのか、高揚を覚えながらもルインフィートはガーラを突き放した。
 その瞬間、寝室の扉がけたたましく開けられ、ふらふらしながらハルマースが出てきた。
「コ・ノ・ヤ・ロ・ウ……!」
 ハルマースはぜえぜえ息を切らしながら、凄い形相でガーラを睨みつけた。ハルマースの股間が、今にもはちきれんばかりに膨らんでいた。
「あー、いやー、効果てきめんだな、うん」
 ガーラは少々後ずさりながら、なおも微笑を浮かべていた。ハルマースは相当頭にきているらしく、何のためらいもなく前を開けて怒張している股間を曝け出した。
「お前……俺に犯されたいのか!」
「ヒィ!」
 ガーラは短く悲鳴を上げた。自分が悪戯心で仕掛けたにもかかわらず、想像をはるかに超えたその大きさに圧倒されてしまった。
 ハルマースはガーラを床に叩きつけるようにして押し倒し、その足を掴んで下穿きをずりおろした。
 無残に晒されたガーラの下半身は萎縮していた。
「ま、まて、はやまるな。お前が好きなのは俺じゃないだろ!」
 ガーラは必死の形相でハルマースを振り払い、呆然としていたルインフィートの腕を掴んでハルマースに突きつけた。
「その様子じゃ風邪はもう大丈夫だな。俺は帰るよ」
 ガーラは慌てて脱がされた衣服を拾い、部屋の外へと駆け出して去った。

「ああもう、なんだったんだ」
 ルインフィートは出口の扉のほうを見てため息をついた。その瞬間、背中から熱い塊がルインフィートを包み込んだ。
 ハルマースが息を切らしながら辛そうに、ルインフィートの背中にもたれかかってきたのだ。
「悪いが、ベッドまで……」
 ルインフィートはハルマースの肩を抱いて、寝台に連れて行った。なんとか横たわらせるが、膨張したままの一物はそそり立ったままだった。
 ハルマースのあまりの辛そうな表情にルインフィートはいたたまれなくなり、その大きな塊に恐る恐る手を伸ばした。
 ハルマースはびくりと肩を震わせた。ルインフィートの手を掴んで首を横に振る。
「ほっとけば……そのうちおさまるだろ……」
 しかしルインフィートはハルマースの手を振り払い、寝台に上がってハルマースの上に跨った。
「ハルマース……俺は我慢できない」
 ルインフィートは服を脱ぎ捨て、全裸になった。強精剤によって固く勃ちあがった自身を曝け出した。
「ルインフィート様……どうなっても、知りませんよ」
「いいよ……」
 ハルマースはルインフィートの腕を掴み、引き寄せて抱きしめた。髪を撫で上げて、軽く口付ける。
 ルインフィートはハルマースに深く口付け返した。熱を持った口内に舌を伸ばし、絡める。ハルマースも抑えていた欲求を開放し、求められるままに口腔を貪った。
「んん……はっ……」
 身体が揺れる度にお互いの高ぶりが肌に当たった。ルインフィートはハルマースの上に跨り、彼の高ぶりを口に含んだ。
「ルインフィート様、足をこちらに向けてください」
 ルインフィートは言われるまま、ハルマースの顔の上に跨った。自分の性器を見せ付けるような格好に、焼け付くような恥ずかしさと、ぞっとするような性的興奮を感じた。
 ハルマースは腰を掴み、目の前に迫るルインフィートの性器を口に含んだ。ルインフィートもハルマースの股間に顔を埋め、大きな彼自身に舌を這わせた。
「う……ン……んくっ……」
 ルインフィートはハルマースに懸命に奉仕した。頑張って根元まで頬張ろうとするが、口内に収まりきらずに自ら喉の奥を突いてしまい、吐きそうになる。
 苦戦している間にもハルマースは器用で的確な舌遣いでルインフィートを責め立て、肛門に指を差し入れて内側からも刺激を与え始めた。
「ンッ……あ……あーッ……!」
 ルインフィートはびくびくと腰を痙攣させ、耐え切れずにハルマースの顔に精を放った。ハルマースはいとおしそうにルインフィートの精を指で拭い、それを後ろに塗りこめた。
 ルインフィートの内部でハルマースの指が再び蠢き始めた。長い指が二本、三本と増やされて、ルインフィートは甘い嬌声を振り撒いた。
 尻を指で犯されながら、再び膨張した性器の裏筋を執拗に舌で嬲られ、ルインフィートは狂おしそうに身を捩った。
「ほしい……ほしいよ……ハルマース」
 ルインフィートはハルマースの固くそそり勃った性器に顔を摺り寄せた。ハルマースは指を引き抜き、ルインフィートの下半身を自由にした。
 ルインフィートは身体の向きを変えてハルマースに跨り、何のためらいもなく腰を降ろした。
 固く、熱く、大きな塊が内部に打ち込まれる。ルインフィートは身体を震わせて、根元までハルマースを咥え込んだ。
「ル……イン……」
 ハルマースは吐息を吐いた。ルインフィートの内部がきつく彼を締め上げる。
「ああ……あつ……あつい……ッ」
 ルインフィートの声が上ずった。どこかに失ったかけらがぴったりと嵌ったような感触に、例えようのない悦びを感じた。
 しかしハルマースのあまりの大きさに、息が詰まって身体を動かすことが出来なかった。
「愛しています、ルインフィート様」
 ハルマースは自らの上に跨るルインフィートの性器に指を絡ませて、扱き始めた。
「うああッ――」
 ルインフィートの背中が弓の様に反り返った。ハルマースは上体を起こし、ルインフィートを貫いたまま彼を下に敷いた。
 そしてハルマースは空いているほうの手で、ルインフィートの乳首を摘まんで転がすように嬲った。
「ア……ア……!」
 ルインフィートは再び精を放った。息を荒げ、肩で息をする。
 そして内部のハルマースのものがいまだに固く熱いことに身震いした。
「まだ……まだですよ」
 ハルマースが意地悪く笑った。ルインフィートはごくりと息を飲み込んだ。
 ハルマースはようやく腰を動かして、ルインフィートの内部を貪った。
「ひ、あ、あ――!」
 内臓を突き上げられ、そして引き摺られるような感覚にルインフィートは悲鳴に近い声を上げた。
――苦しい、痛い、気持ちいい
 怒涛のように押し寄せる苦痛と甘い痺れの応酬に、ルインフィートはこのまま気が変になってもいいと思い始めた。
「ああ……も……ダメだ……ッ」
「俺も……イキそうです」
 ハルマースの腰の動きが早くなり、前も扱かれ続け、ルインフィートは三度目の精を吐き出した。
 同時にハルマースもルインフィートの内部に、ねっとりとした濃い精液をたっぷりと注ぎ込んだ。
「うう……」
 ルインフィートの身体が震えた。ハルマースはまだ彼から離れず、貫いたまま再び腰を動かし始めた。
「ちょっ……お前まだ……!」
 ルインフィートの内部で、ハルマースの固さが再び増し始めるのを感じた。ハルマースは微笑みを浮かべ、ルインフィートの額に口づけた。
「どうなっても知りませんと、言ったじゃないですか」
「そ、そんな……!」
 内部に吐き出された精が滑り、肛門が一層湿った卑猥な音を立てた。
「何で、お前、そんなに元気なんだよ……!」
 身体を激しく突かれ、声を喉に詰まらせながらハルマースに抗議する。さっきまで高熱を出してうなだれていたはずではないかと。
 ハルマースは一層激しくルインフィートを扱き、後ろを突き上げた。
「俺の病気の特効薬は、あなたなのかもしれません」
「――――ッ……!」
 ルインフィートはぼろぼろと涙を零し、四度目の精を解き放たれた。既に粘性はなく、水っぽい液体が腹に飛び散った。
「はっ……」
 ハルマースは短く息を吐き、全て搾り出すようにルインフィートに精を注ぎ込んだ。中から引き抜くと精液が滴り落ち、ルインフィートの腰がガクガクと震えた。
 ルインフィートは仰向けのままぐったりと手足を投げ出し、ぼんやりとハルマースを見つめていた。
「ルインフィート様……」
 ぞっとするような淫靡な光景がハルマースの目に焼きついた。ルインフィートの四肢は白濁にまみれ、忌々しいはずの全身の傷跡が紅く色付いて艶かしく肌を彩っていた。
「もう一発、行きますよ……」
 その言葉にルインフィートの身体がびくりと強張った。
「それはそうと、なんで急に敬語になってるんだよ……!」
 ルインフィートの問いかけに、ハルマースはさあ?と小首を傾げるだけだった。

 いつの間にか、朝が訪れていた。ルインフィートは夜通しハルマースに犯しぬかれ、ぐったりとしたまま自力で動けなくなっていた。
 対照的にハルマースはすっかり元気になり、寝台の敷布を取替え、汚れた身体を洗う為に、ルインフィートを優しく抱えながら風呂場へと向かった。
 温かい湯が二人の身体を伝い、疲れた身体を癒した。
「ひどいよハルマース。何度も中に出すなんて」
 ルインフィートは涙目でハルマースに抗議した。ハルマースはぎゅっとルインフィートの身体を抱きしめる。
「出さないといけないな」
 ルインフィートの身体がぴくりと強張った。ハルマースの指がまた挿入され、体内を掻きまわす。
「や……もう……!」
 ルインフィートはハルマースにしがみついて、身を捩った。


 ザハンの屋敷に、ハルマースが一人で訪れた。
 呼び出されたガーラはぞっとして部屋から出なかったが、ハルマースは無理矢理扉をこじ開けてガーラの部屋に侵入した。
「俺のおかげで風邪はもう治ったみたいじゃないか。
 一体今度は何の用だ?」
「お前の強精剤のせいで、王子が瀕死に陥ってしまった。
 数値にすると、今の王子のHPは2くらいだ。早急に回復の術が必要だ。
 おまえの、せいだからな。俺のせいじゃない」
「はああ!?」
 ガーラは呆れたため息を漏らした。
 そして昨日見せ付けられたハルマースの巨根を思い出す。
「……やったのか? お前、サントアークの騎士のクセに」
 ガーラはぞっと青ざめた。ハルマースはガーラを睨みつけ、黙って何も答えない。
 ガーラはルインフィートに同情し、彼に回復魔法をかけて体力を回復させてあげた。


 ルインフィートは、決してハルマースに強製剤を与えてはならないということを学んだ。



おわり



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