王子様のおつかい
ルインフィートはそのビンのラベルを良く確認してみた。成分表にはこう書かれていた。
すっぽん
オットセイ
トナカイ
マカ
亜鉛酵母
タツノオトシゴ
ウアナルポマチョ
ソフォン
ガラナ
サソリ
「な、なんだよこれ!!」
ルインフィートはガーラに激しく抗議した。いかにもな怪しい成分ばかりだという事はルインフィートにも理解できた。
「なにって、元気になるお薬さ」
ガーラは薄笑いを浮かべてルインフィートにあっけらかんと言った。
「こんなもん俺は飲まないぞ! ふー危なかった」
ルインフィートはビンをガーラに突き返した。ガーラは素直にビンを受け取り、暫く成分表を眺めていた。
「んーじゃあ俺が飲むかな」
ガーラは蓋を開けて、中の液体を一気に飲み干した、相当まずかったらしく、ガーラはゲホゲホとむせ返った。
「そんなもの飲んで、どうす……」
言いかけて、ルインフィートはガーラの真意に気がつき後ずさった。
ガーラはルインフィートに迫り、壁に押し付けて移動を阻んだ。
「奴の寝ている横で楽しもうぜ、王子様」
「嫌だッ」
ルインフィートはガーラから顔を背けた。しかし服の上から股間をまさぐられ、身体は反応を示してしまう。
「お前にはもっとイイものをあげよう」
ガーラはくすくすと笑いながら、懐から細長い管のようなものを取り出した。ルインフィートの口を手でふさぎ、その細い管を鼻の穴に軽く挿した。
「――――ッ!」
ルインフィートは管の中に入っていた粉状のものを吸い込んでしまった。鼻の奥の粘膜から薬の成分が瞬時に吸収され、眩暈を起こしてその場に崩れ落ちた。
視点が定まらず視界がぐるぐるとうねり、異様な高揚感に包まれてルインフィートはたまらずガーラにしがみついた。
「な、なにを……」
「抗うつ薬さ。普通に飲めばね。だけど、鼻から摂取すると……
ちょっといい気持ちになれる……」
ガーラはルインフィートの腕を掴んで立ち上がらせた。首筋を舐めると、ぞくりと身を震わせた。
ルインフィートは酷く淫らな気持ちが湧きあがり、今すぐ犯されてしまいたいという欲求に苛まれた。
そんなルインフィートの心情を察したのか、ガーラはわざとらしく優しくルインフィートに触れる。
啄ばむような口付けを繰り返し、服の上から身体をまさぐり、焦らす。ルインフィートの股間が膨れ上がり、その存在を主張した。
「――ッ、ガーラ……」
「なに?」
わざとらしくガーラは優雅な微笑みを見せる。
「し、て……」
「何を?」
ルインフィートは目を潤ませ、懇願した。
「おかしくなりそうだ……!」
ルインフィートはしゃがみこみ、ガーラの下穿きを降ろして性器を掴んで口に咥えようとした。しかしガーラの手がルインフィートの頭を掴み、無理矢理上を向かせた。
「何をどうされたいのか言わないと駄目だよ」
ルインフィートは身を捩じらせ、髪を掴まれたままガーラの下腹部に顔を摺り寄せた。
「俺を、犯してくれ……」
しかしガーラはまだ納得せず、更に髪を強く引っ張り上げる。ルインフィートは痛みに顔を引きつらせた。
「もっと具体的に」
ルインフィートはガーラを下から見上げ、高揚感に息を乱しながら半ばやけになって答えた。
「お……お前のちんこで俺の尻をメチャクチャに貫いてくれ!」
「……そんな大声出したら隣の部屋にも響くぞ」
ガーラは呆れて苦笑いした。そしてルインフィートの髪を優しく撫でる。
ルインフィートはガーラのものにしゃぶりつき、懸命に頬張った。
「なんてはしたない王子様なんだ」
ガーラはルインフィートの髪を掴み、再び顔を引き離した。ルインフィートの目は既に虚ろで、口からは涎が垂れている。
「薬が効きすぎたのか」
「ガーラ、ほしい、ほしいよお」
ろれつの回らない声でうわごとのように呟き、ルインフィートはガーラのものをぎゅっと握り締めた。ガーラの身体がびくりと震えた。
ガーラはルインフィートの肩を掴み、立ち上がらせた。机に押さえつけ、そのまま身体を上に乗せた。
何もしていないというのにルインフィートは身を捩じらせて、机を爪でかきむしりながら喘ぐような甘い声を出した。
「あ……はぁ、ハァ……」
ルインフィートは自ら上着を引きちぎるかのように乱暴に脱ぎ捨て、下穿きの中に手を入れようとした。
しかしガーラがその腕を掴み、自慰をしようとするのを阻んだ。
「駄目だよ」
「やだ……!」
ルインフィートは感情の抑制が完全に出来なくなってしまっており、強くガーラの手を振り払った。
下穿きを脱いで全裸になると、ルインフィートはガーラの目の前で己のものを一心不乱に扱き始めた。
「あ、アー……」
完全にあっちの世界に行ってしまったルインフィートを、ガーラは少し冷めた気持ちで見ていた。薬を嗅がせたのは失敗だったと後悔する。
強精剤を飲んでいなければきっと下半身も萎えてしまっただろう。
とっとと終らせてしまおうと思い、ガーラはルインフィートを引き寄せて机から降ろし、尻をこちらに向けさせた。
後ろから前を扱いてやるとルインフィートはあっけなく達し、ガーラの手を湿らせる。ガーラはその指をルインフィートの肛門に差し入れ、中を慣らすように蠢かせた。
「アッ……ふう……はやく――」
ルインフィートは淫らに腰を振って求めた。ガーラはその尻をぴしゃりとはたく。
「酷い淫乱だね」
「欲しい、ほしいよお、はやくいれて――」
ガーラは再びルインフィートの尻を叩いた。ルインフィートはその行為にすら快感を感じて身体をびくつかせた。
「もっと、もっとひどくして……!」
部屋に肉を叩く音と、嬌声と叱咤の声が交互に響いた。ルインフィートの尻が痛々しく赤く腫れあがった。
それでもルインフィートは上ずった甘い声を出し、ガーラに貫かれたいとせがんだ。
「そんなにお尻に入れてもらいたいのかい?」
ガーラはルインフィートの尻を撫でながら、甘く優しい声で囁いた。ルインフィートは何度も頷き、尻を淫らに揺り動かした。
「なら……」
ガーラの中で暗い欲望が燃え始めた。油で手を湿らせて、ルインフィートの肛門にゆっくりと指を挿入した。
「もっと熱くて太いのが欲しい」
「慌てないで」
ガーラはにやりといやらしい微笑みを浮かべた。指を二本、三本と増やし、肛門をゆっくりと拡張しながら拳を握り、最後は全て彼の中に収めた。
「――――ッ!」
ルインフィートは息を詰まらせた。固くてゴツゴツしたものが、目一杯詰まっているのを感じて恐怖を覚えた。
「や……ぬ、抜いて!」
「欲しかったんだろ……?」
ガーラはルインフィートの中でゆっくりと拳を動かした。限界まで拡張された内部が張り裂けそうになり、ルインフィートは苦しさに悲鳴を上げた。
「ひッ……」
しかし固く握られた拳が前立腺を圧迫し、途端に快感がルインフィートの背を駆け巡り、びくびくとのたうつように腹を痙攣させた。
「あああ……アアーッ――!」
「腕を突っ込まれたというのにもう感じているのかい。お前のからだは本当に淫らだな」
ガーラはゆっくりと拳を上下させた。ルインフィートは涎をたらして淫らに喘ぎ、張り詰めた性器からも雫がぽたぽたと滴り落ちた。
「いや――いやだ――アアッ……」
ガーラの拳に犯されて、ルインフィートは何度も絶頂に達した。
拳を引く抜くと、無理に拡張された肛門が赤く腫れあがっていた。
「ああ、もう、ここは使えないね」
ガーラはふらふらになったルインフィートをしゃがませて、その口に己のものを咥えさせた。
「俺の処理もしてもらわないとね」
動く気力が尽き果てているルインフィートの頭を掴み、無理矢理動かした。喉の奥まで挿入され、ルインフィートはたまらずえづいたが手を離してもらえず、嘔吐しそうになるのを必死に耐えて喉でガーラを締め付けた。
そしてガーラは一旦ルインフィートの頭を離し、涙と唾液でぐしゃぐしゃになっている彼の顔に精をぶちまけた。どろりとした濃い液体が顔を伝って滴り落ちる。
「う……あ……」
ルインフィートは肩で息をしながら、ガーラの精を手で拭い、舌で舐め取った。
「ガーラ……ガー……ら」
ルインフィートはうわごとのように名前を呼び、再び自らガーラのものを咥えた。
「え……」
ガーラは戸惑いを覚えた。こんなにも酷いことをしたというのに、縋り付いて来るルインフィートに淡い感情を抱き始める。
「ルイン……」
ガーラはルインフィートの髪を優しく撫でた。
「俺はお前が大嫌いだよ」
ガーラはルインフィートにそう告げると、今度は喉の奥にその精を注ぎ込んだ。ルインフィートはごくりと喉を鳴らして、ガーラを飲み干した。
翌日、ハルマースは異様な匂いに気がついて目が覚めた。寝室にルインフィートの姿がないことを認識すると、ふらふらとした足取りで部屋を出た。
隣の居間で、ガーラが香を焚いていた。あまりにもきつい匂いにハルマースはむせて咳き込んだ。
「な、なにしてる」
「俺は香を焚かないといられないタチでね」
「……は?」
ハルマースの不審な眼差しを無視し、ガーラは一人でお茶を啜っていた。
(部屋に臭いが残ってしまった)
ガーラは内心冷や汗をかいていた。
「王子は?」
「トイレだよ」
噂をすると、ルインフィートがトイレから出てきた。酷く青い顔をして、げっそりとしている。
「だ、大丈夫か?」
ハルマースが慌ててルインフィートに寄り添った。ルインフィートはうなだれて腹を手で押さえた。
「げ、下痢が止まらないんだ。昨日何か変なもの食べたっけ……
っていうか、昨日俺何してたんだっけ……記憶が飛んでるんだ。
なんか誰かにケツに手を突っ込まれたような夢を見た気がする」
そういうとルインフィートはぐったりと椅子に座り込んだ。ハルマースは心配そうな眼差しをルインフィートに向けて、そっと彼の肩を抱いた。
「心配かけたな……きっと、疲れがたまってたんだ」
二人の様子を見て、ガーラはフンと不機嫌そうに鼻を鳴らした。
そしてガーラは、薬物なんて使うもんじゃないと心に刻み込んだ。
おわり