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ジュネ夫隠れ家

青字:父親ザハンの添削

 おっはーレヂィたち、元気してるか?おれはみんなのアイドルセリちゃんだ。やっPー。←最悪ですね
 もうみんなしってるよな、ガーラくそ兄貴ともめて、次兄のジュネ夫が家をでていっちまったのを。
 やつがいなくなってからというものの、弱肉強食の法に従い俺が家事をやらされるようになった。
 なんたる事態だ、冗談じゃないぞ!!
 ライのためにつくすのはおおいに結構だが、くそ女とくそ兄貴のために飯を作るのは我慢ならねえ!!
 しかしやつらに逆らうと何をされるか解ったもんじゃねえ、掘られるのも殴り飛ばされるのも御免だ。
 可哀相に、俺はやつらのいいなりになるしか生きていく手立てがなかった。これは、幼児虐待だ!! ←誰が幼児なんですか
 しかしライだけは俺にやさしく、よく励ましてくれていた。しかしこの頃、やたらと俺の尻を撫でてくるのが気がかりだが……。←狙われているんですよ

 かくして主婦業に追われるはめになってしまった俺は、暇を見つけてはあちこち出歩いてジュネ夫を探していた。
 この町にいるという保証はないが、家にいるよりましだ。
 親父ザハンの千里眼なら居場所を見つけ出せそうな気がするが、奴にこそ何か頼んだらそれこそ何をされるかわかったもんじゃないからな。
 悪魔にものを頼むには契約が必要なのだ。←誰が悪魔ですか

 外を出歩く内に、俺はこの頃近所の道路工事をしているコータというニイチャンと仲良くなった。夜は酒場で働いているという働き者の兄ちゃんだ。いつも俺にでっかい飴玉をくれる気のいい奴だ。←完全に子供扱いですね
ニイチャンの日に焼けたたくましい腕をみるとつくづく、俺の兄貴達は貧弱だと思う。やっぱり男は腕っぷしが良くないとな!

 しかしこのごろ、いつも五月蝿いぐらいに元気なコータ兄ちゃんの様子がおかしくなっていた。
 昼休みにはいつもコンビニ弁当をかっこんでいる兄ちゃんが、この頃はちんまりとしたお手製の弁当を持ってきている。
 彼女でもできたんかーと、仲間のおっちゃん達に聞いてみたところ、おっちゃん達も知らないという。
 おれはひやかし気味に、にいちゃんに彼女の差し入れかァ?と、突っ込んでみたところ、にいちゃんは慌てて首を横に振った。
 そしてコータにいちゃんは、照れくさそうな笑顔を見せながら俺に言った。
「オンナだったら悩むこともねえんだけどよ……」
 なんだとォ!? にいちゃん、おホモに迫られているのか!?
 にいちゃんも俺みたいに尻の穴を狙われているのだろうか。
 中にはガタイの良いアニキ系の男を好む奴もいるからな。
 しかしにいちゃんはとてもうまそうに、幸せそうにおかずの肉じゃがを頬張っていた。
 肉じゃが……そう言えば最近食っていない。
 ジュネ夫の得意料理だったが、俺は和食は専門外だった。作れんのだ。←駄目じゃないですか

 にいちゃんは日を追うごとに、また元気を取り戻していった。
 相変わらず弁当を引っ提げてくるところを見ると、どうやらおホモには慣れたらしい。
 俺は、素直に聞いてみた。
「にいちゃん、男と仲良くやってんのか?」
 したら、がつんと殴られた。
 コータにいちゃんは顔を真っ赤にして首をぶんぶんと目一杯横にふった。
「お、俺はホモじゃねえ断じてホモじゃねえからな!!!!」
 その叫び声が仲間のおっちゃん達にも聞こえて、がははと皆笑い出した。
「コータのカレシって、新しく酒場に入ったあれだろ?
 たまげたぜ、あれで男だって言うんだからよ……
 ありゃー惚れても仕方ねえなあ、こーた!」
「そんなんじゃねえっつーの!!!!
 かーっ、やだねえオヤジは!!」
 そういいながらも、やっぱりにいちゃんはどこか幸せそうだった。←おや嫉妬ですか?世の中にはジュネ夫のようなやつもいるんだなと思った。
 ん? ジュネ夫……?

 まさかと思って俺は仕事の終わったにいちゃんの後をつけてみた。←完全にストーカーですね
 コータにいちゃんは俺達が良く行く酒場の、寮に住んでいた。そこで昼間の肉体労働の汗を流して、さっぱりして酒場で働くらしい。つくづく働き者だ。ガーラ兄貴に爪の垢でも煎じて飲ませてやりたいところだ。←まったくです
 制服を着て出てきたにいちゃんは昼間の親父臭いにいちゃんとは違ったかっこよさがあった。無造作ヘアー(?)がかっこよく決まっている。
 そしてにいちゃんの後ろからひょっこり出てきた男は……ジュネ夫だった。
 まさかと思ったがジュネ夫だった!!
 髪も短くなって、ぱっと見誰だか解らなかったが、あれはジュネ夫だ。
 にいちゃんもジュネ夫もにこにこしながら、店に入っていった。
 俺は、どうしていいか解らなくなった、
 どういういきさつでこうなったかは知らないが、ジュネ夫を連れ戻せば、コータにいちゃんは悲しむだろう。
 しかし、ジュネ夫に帰ってもらわないと、俺は一生兄弟達の小間使いだ。
 それに、夜にこの酒場を訪れることはないんだが、もしガーラ兄貴に知れてしまったら……。
 コータにいちゃんはとてもいいやつだ。ジュネ夫は今度は彼に惚れたのだろうか。なんて惚れっぽい奴だ。←おやおや嫉妬ですか?

考察:
 ジュネ夫は惚れっぽい。
 きっとこれからその美貌でもって、様々な男を手玉にとるのだろう。←人聞きが悪いですね……
 このことが兄貴に知れたらまずい。
 コータにいちゃんが何をされるかわからない。

 よって俺はこの事実を黙殺することにした。
 でも家事は……やりたくねえなちくしょい〜!!
 やつばかり幸せになりやがって!!
 いつかおぼえてろよ!! このやろう!! ←負け狗の遠吠えですね
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