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目障りな光
 ルインフィート・サントアーク。
 彼は西の大国サントアークの王子であり、将来はきっと彼が国王を継ぐ事になるのだろう。本来ならば、ここワートで冒険者生活などを送るような身分のものではない。
 国のものたちは王子がいなくなってしまったことに対して、どんな気持ちでいるのだろうか。どうやって出てきたのかは知らないが、自らの立場をわきまえていない、至極迷惑勝手な行動をしているのだということを判っていないのだろうかとガーラは疑問に思った。
 ルインフィートがその身分を隠し、護符を求める理由にも驚かされた。彼は友の病気を治したいがために出てきたというのだ。
 ガーラはルインフィート目の前にすると、抑制のきかないほどの苛立ちを覚えるようになっていた。出会ったころは仲良くやれていたのに、何故なのだろうとガーラは自問した。
 理由も言わずに強姦したというのに、ルインフィートはガーラを恐れたり避けたりすることはなかった。恐れるどころか彼は渋りながらも、誘われるがままガーラの手に落ちてくる。
 男とのセックスを楽しむようになってしまったのかと思いきや、どうやらそうでもないらしい。彼はいつも胸に他の男を想いながら、痛みに耐えて震えていた。

 夜空に浮かぶ月がまた満ちていた。
 ガーラはまた自らの部屋にルインフィートを連れ込んで、組み敷いていた。嫌がる素振りを見せつつも本気で抵抗しないルインフィートを、寝台の支柱に括り付ける。
 月明かりに照らされるのは、傷だらけの肢体。
 この男は逃げ出した自らの故郷で、一体何を見たというのだろうか。それに比べればここで男に後ろを掘られることなど、とるに足らないことだというのだろうか。
 自分は今になっても、対象を殺してまでも苦しんでいるというのに。
 単なる八つ当たりだというのはわかっていた。大人げないと思いつつもガーラはルインフィートを苛めずにはいられなかった。

 こうして寝台に括りつけられるのも、慣れてしまった感のあるルインフィートは、ふてくされたような表情でガーラを睨みながら言う。
「見てないではやく済ませろよ」
 もはや犯されることには何の躊躇もないと言ったところだろうか。もう少し脅えてもらわないとガーラの気持ちは冷めていく一方だった。
 なめられたものだ……と、ガーラは自嘲した。
「なんて奴だ、お前は」
 ガーラはくすくすと口元で笑い、軽蔑するようにルインフィートを見下した。ルインフィートは舌打ちしながら、「誰の所為だよ」と彼を睨み返す。
 ガーラは彼の睨みを軽く流して、おもむろにルインフィートの口内へと指をねじ込ませた。予想外の行動だったのか、ルインフィートは喉をつまらせて顔を歪ませた。
「噛むなよ……しっかり濡らさないと、辛いのはお前だぜ」
 ガーラに促されるまま、ルインフィートは口内を犯してくる指に舌を絡ませてきた。彼はこのあとこの指で何をされるのか、わかっているようだ。
 その様子を見下ろしているガーラはいやらしい薄笑いを浮かべた。
「元気だな」
 なにもされていないのに、ルインフィートのものが勃ち上がりかけていた。この事態にはさすがに悔しいと思ったのか、彼は羞恥に頬を染めて瞳を潤ませた。
 ガーラはルインフィートの股の間に腰を据えて、足を大きく開かせた。無駄な脂の無い引き締まった太腿の筋肉の筋が見える。十分に濡らされた指を彼の秘部へとくわえ込ませて、ゆっくりと中を捜索しはじめた。
「はやく済ませるなんて勿体無い。じっくりと可愛がってやるよ」
「……どうでもいいから、早く終わらせて欲しい」
 ルインフィートは戸惑いの表情を浮かべた。いつものガーラなら準備も不十分なまま、ルインフィートを一方的に貪っている。ルインフィートの表情が苦痛で歪むのを、嬉々として眺めるのだ。
 ガーラは執拗に中を探り、ルインフィートの前立腺を探し当てた。そこを指でぐいぐいと責めたてると、みるみるうちにルインフィートの身体がしなり、淫らな嬌声が漏れはじめた。
「ああ……あ、あ……っ!」
 恍惚でありながら苦悶に歪むルインフィートの顔を見て、ガーラは満足そうに微笑んだ。
 一度も触れられていないのにルインフィートのものは張り詰めて先走りが漏れ、解放を求めている。
 熱をはらんだ潤んだ瞳で、ルインフィートはガーラを見つめた。
「なに?」
 ガーラはまた、口元でくすくすと笑った。そこでルインフィートは、いつもより恥ずかしい事をされている事に気付いたのか、必死で声を押し殺した。
「後ろだけでこんなに勃たせて。もう先がびしょびしょじゃないか。お前って本当に……淫乱だよ」
 酷い言葉を投げかけながら、指先に力を込めて前立腺を擦った。険しかったルインフィートの表情が再び淫らに歪んでゆく。
「や……やだ……っ、離せっ……あ、ああ……ッ!」
 縛り付けられている寝台ごと揺らし、ルインフィートはそのままガーラの指だけで射精した。身体がびくりと跳ね上がって、縛られている手首が軋んだ。放たれた白濁が飛び散って、自らの腹の上に滴った。
「う……うう……」
 荒く呼吸をしながら、ルインフィートの熱を帯びた瞳からとめどなく涙が溢れはじめた。
「気持ちよかっただろう? こんなにたくさん出して……。相変わらずアイツは、ここの世話をしてくれないんだな」
 ガーラはその指をルインフィートの中に埋めたまま、あくまでも底意地悪く、冷たい微笑みを浮かべている。
 他の男……ハルマースのことを想っているルインフィートにとって、他から快楽を受けることは裏切りにも等しい。
 痛みが勝っていたこれまではあまり事の重大さを感じなかったが、確実にルインフィートは自分がガーラと交わっているという事実を思い知らされた。
「なんで……なんでこんなことするんだよ……。俺がお前になにかしたかよ……」
 消え入りそうな声でルインフィートは言う。ガーラは傷ついて涙を流す彼の表情にたまらなくそそられて、もっと酷いことをしてしまいたいという衝動に駆られた。
 うっとりと微笑んで、指を再びルインフィートの中へと滑り込ませた。
「い……やだ……」
 苦しげな声が吐かれる。強制的に与えられる快楽に、身を捩じらせて涙を流す。
 彼が苦しむのを見て、ガーラは異様に気分が高揚してくるのを実感した。
 ガーラは指を引き抜き、ルインフィートの下半身を無理に倒立させるように抱えあげた。背骨が丸められ、苦しそうな息が聞こえる。
 その体勢のまま、ガーラはかがみ込む様にしてルインフィートを貫いた。指とは比べ物にならない圧倒的な質量に、ルインフィートは悲鳴に近い声をあげた。
 ガーラはルインフィートを貫いたまま、再び熱を帯び膨張を始めている彼の性器に指を絡ませた。腰をゆっくりと上下させながら、慣れた手つきでそれを扱いていく。
 このままいかせてしまったらどうなるか――想像しただけで、ガーラは口元が緩むのを止められなかった。ルインフィートの瞳が恍惚と恐怖に彩られて、虚空を泳いでいた。
 ずっと触って欲しかった所をしごいてもらえると、あっけなくルインフィートはまた達してしまった。
「ひっ……ぁあッ……!!」
 ルインフィートから放たれた白濁が、そのまま放物線を描いて彼の顔へとかかった。自分のものを自分の顔で受け止めてしまい、ルインフィートはあまりの恥辱にわなわなと震え始めた。
 それでもまだ、ガーラは彼を解放せずに貫いていた。腰を降ろして姿勢を安定させ、片足を大きく折り曲げ、より深い奥まで抉るように腰を突く。
 強烈な圧迫感にガーラは眩暈を起こしそうになった。呼吸が乱れ、彼の身体にのめりこんでゆく。
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