銀の巡礼
 人里を離れた魔族の村に、一人のやつれた青年が流れ着いた。彼は記憶を失っていたが、村の長リムーダーは彼のことを知っていた。
 彼の名前は、ガーラ・ルイム。ある事情により、王の血を引かずに魔の国ルイムの王子として、生まれてきてしまった男。
 ルイムは賢者ザハンの謀反を受けて、壊滅させられてしまっていた。彼はその時、何らかの理由でこの地に流れ着いたのだろう。
 ガーラはリムーダーに保護されて、魔族の村で一年間療養する。青年の空虚な心は、穏やかに満たされていった。
 ガーラは離れ離れになってしまった兄弟のことが気にかかり、彼らを探す旅に出ることにした。
 旅をする間に、自分の記憶も取り戻すに違いない……そう信じて、彼は歩き出した。

[第一部]
 満月の夜
  1. 夜の祈り
  2. 囁く罠
  3. 夜道探索
  4. 暴露
  5. 対話
  6. 緊張の朝
[第二部]
 夜明けの星
  1. 空白の流浪
  2. 羽音
  3. 別れと出会い
  4. 出発
  5. 鮮血
  6. 裏と表
  7. 試練の時
  8. 壁の城
  9. 開け放たれた窓
  10. 伏せられた罠
[第三部]
 彷徨う時
  1. あらくれ者
  2. 忍び寄る負の影
  3. 油断
  4. 最後の夜
  5. 生活の格差
  6. 佇む青
  7. 偽りの事実
  8. お化け屋敷へ
  9. 問答
  10. 行方
[第四部]
 嘘と償い
  1. 眠る王子
  2. 目障りな光
  3. 銀の獣
  4. 開放
  5. 白と黒

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